壁に着いたら、もう次の出発時刻。急いで泳ぎ始めても、次の1本ではさらに遅れてしまう。サークルに間に合わないときは、毎本を全力にする前に、泳いだタイムと残った休息を確かめてください。

距離を短くする、本数を減らす、出発の間隔を広げる。どれも調整の方法ですが、練習内容はそれぞれ変わります。チームで泳いでいる場合は、コーチと相談してから変えましょう。

タイムが落ちると、次の1本までの休息も減る

サークルは、出発から次の出発までの時間です。泳ぐ時間と休む時間の両方を含みます。たとえば、同じ距離を1分30秒サークルで繰り返す場合は、次のようになります。数字は仕組みを説明する架空の例です。

泳いだタイム次の出発まで状態
1分10秒20秒壁で20秒休める
1分25秒5秒休息がほとんど残らない
1分35秒出発時刻を5秒超過決めた時刻には出られない

同じ1分30秒サークルでも、泳ぐ時間が長くなると休息が20秒、5秒と減り、1分35秒では次の出発に5秒遅れる図

架空の計算例。横幅は時間の比率を正確に表していません。泳ぐ時間と休息の関係を示した模式図で、推奨タイムや必要な休息時間を示すものではありません。

後半に遅れるほど休めなくなるので、同じ設定でも1本目と最後の1本では余裕が違います。到着後に決まった秒数を休む「レスト指定」とも区別が必要です。U.S. Masters Swimmingの練習ガイドでも、この違いが説明されています。

時計の読み違いで出発がずれている場合は、設定を変える前にペースクロックの見方で出発時刻を確認できます。

最初から遅れるか、後半から遅れるかで見直す場所が変わる

1本目から出発に間に合わないなら、その日の泳力と指定された距離・サークルが合っているかを確認します。指定が100mなのに50mのつもりで聞いていた、泳法や強度を取り違えていた、という確認も先です。

最初は余裕があるのに後半だけ遅れるなら、各本のタイムを並べます。1本目だけ飛ばしていないか、毎本少しずつ落ちているか、途中で急に崩れたか。失敗した本数だけでは、こうした違いが残りません。

たとえば「前半は力を抑えてそろえる練習」なら、最初の数本を速く泳ぎすぎていないかが相談の材料になります。全力の短距離練習なら、タイムを守るために休息を増やす判断もあります。同じサークルをこなせるかだけで、練習の良し悪しは決められません。

距離・本数・サークルは、練習の目的に合わせて変える

次の表は、設定を相談するときの例です。全員に共通する推奨メニューではありません。

変えるもの変更例残せる条件・変わる条件
サークル100m×6本、2分を2分15秒へ距離と本数は同じ。休息が増え、全体の時間は長くなる
1本の距離100mを50mへ短い距離で動きを確かめられる。連続して泳ぐ長さと総距離は減る
本数100m×6本を4本へ1本の距離は同じ。セット全体の量が減る
休息の指定方法サークルから到着後のレストへ毎回の休息をそろえられる。出発時刻は泳いだタイムによって変わる

フォームを保てなくなる前に区切りたいなら、1本の距離を短くする案が考えられます。100mを続けること自体が目的なら、距離を変える前にサークルや本数を相談するほうが目的を残せます。

本数だけを減らしても、1本目から間に合わない設定は変わりません。「何を減らせば楽になるか」に加えて、「今日は何を練習したいか」を確認してください。目標から練習内容を決めたい場合は、水泳の目標と練習で見る指標の決め方も使えます。

USMSのガイドは、泳ぐ速さが異なるグループでは距離や本数を調整する方法を挙げています。ただし、短くしたメニューに元と同じ負荷や効果があると保証するものではありません。

チーム練習では、距離と次の出発をコーチに確認する

サークルから遅れた分を取り戻そうとして、前の人を独断で追い越したり、コースの途中で折り返したりしないでください。レーン内の泳ぐ順番や出発の間隔は、施設・チームのルールに従います。

相談するときは、「3本目から2分を超えました。残りは距離を短くしますか、休みを増やしますか」と、起きたことを伝えると具体的です。1本休む場合も、休む位置と、誰の後ろから何時に戻るかまで確認します。

25mプールで100mを50mに変えると同じ側へ戻れますが、75mに変えると反対側に着きます。距離を減らすだけでも、次の出発場所が変わることがあります。50mプールなら、途中の25mで止まって休む前提にはできません。

USMSの初心者を迎えるコーチ向け資料も、周回・追い越しなど、そのクラブのルールを伝えるよう求めています。一般開放のプールで泳ぐ場合は、レーンのマナーと休憩位置を確認しておきましょう。

次回の設定に使うため、変更した内容まで記録する

練習後は、「100m×6本、2分サークル。3本目から間に合わず、4本目以降は50mへ変更」のように、実際に泳いだ内容を残します。メニュー表に書かれた600mを、そのまま完泳した距離に数えないようにしてください。

記録したいのは、各本のタイム、残った休息、途中の変更、最後のきつさです。練習記録の記入例に沿って書き、余裕があれば主観的なきつさの記録も添えます。

次は同じ設定を試すのか、初めから距離やサークルを変えるのか。実際のタイムがあれば、コーチと決めやすくなります。

参考資料