
平泳ぎの手足のタイミング|キックの推進を止めない合わせ方
平泳ぎで「手と足が合っていない」と言われても、どちらを早くすればよいのか分かりにくいものです。腕も脚も動いているのに、1回ごとに身体が止まることもあります。
見るべきなのは、手と足が同時かどうかだけではありません。腕で進む時間、脚を引きつける時間、キックで進む時間、伸びる時間がどうつながっているかです。
先に短く言うと、基本の流れは次の順です。
- 腕をかき始める
- 腕を戻しながら脚を引きつける
- 腕が前へ伸びたところへキックをつなぐ
- キックで得た速度を伸びで受け取る

タイミングは泳ぐ速さでも変わる
競技者12人とレクリエーションで泳ぐ12人を比べた研究では、遅いペースとスプリントの25mで、腕と脚の各局面を分析しています。
競技者は速度を上げると、腕と脚の間の時間関係を変えていました。一方、もう一方のグループでは、速度が変わっても同じ重なり方が続く傾向がありました。
同じ研究では、遅いペースで両グループが同じ速度だったとき、レクリエーション群では脚を伸ばす動きと腕を戻す動きが重なり、明確な伸びが見られませんでした。
「どのペースでも同じ間を取る」ことが正解とは限りません。50mのテンポを、そのままゆっくり泳ぐ練習へ持ち込むと合わない場合があります。
まず2つの重なりを見る
腕を戻す前にキックが終わっていないか
キックしたときに腕が胸の前に残っていると、前面が広がった姿勢で速度を受けることになります。
横動画で、足が後ろへ動き始めた瞬間の手の位置を止めて見ます。手が前へ向かっている途中なのか、すでに伸びているのかを確認します。
キック後すぐに次のプルを始めていないか
キックで速度が上がった直後に手を外へ開くと、前へ伸びた姿勢を使える時間が短くなります。
ただし、伸びは長ければよいわけではありません。止まるまで待つと、次のプルで再び加速する負担が増えます。
1つの正解タイミングはない
26人に音で異なる手足のタイミングを示した研究では、動きの時間関係を変えると、1ストローク内の速度変化も変わりました。
これは、全員に同じタイミングが最速だったという結果ではありません。手足のつなぎ方を変えれば、加速と減速の出方も変わることを示しています。
38件の研究をまとめたレビューでも、100mは200mよりストローク数が多く、1回で進む距離が短く、推進に使う時間が長い傾向でした。
種目距離、泳ぐ速さ、体格によって使いやすい間は変わります。まず同じペースの中で比較します。
動画では4コマに分ける
横から撮った1ストロークを、次の4場面で止めます。
| 場面 | 確認すること |
|---|---|
| プル開始 | 脚がまだ伸びているか |
| 呼吸の頂点 | 足を引きつけ始めているか |
| キック開始 | 手が前へ向かっているか |
| キック終了 | 腕と脚が伸びた姿勢へ戻ったか |
この表は、研究結果から唯一の正解角度を示したものではありません。どの場面で動きが重なり、速度を失っているかを整理するための見方です。
まとめ
平泳ぎの手足が合わないときは、「同時に動かす」ことを目指しません。
- 腕を戻す前にキックが終わっていないか
- キック後すぐに次のプルを始めていないか
- 泳ぐ速さが変わっても、同じ間を使っていないか
横動画を4場面で止め、最も大きく重なっている場所を一つ選びます。タイミングはペースごとに確認します。
よくある質問
平泳ぎは「かいて、蹴って、伸びる」で合っていますか?
大まかな順番として使えます。ただし実際には、腕を戻す動きと脚を引きつける動きが一部重なります。言葉だけでそろえず、キック開始時の手の位置を動画で見ます。
手と足は完全に交互に動かすべきですか?
完全に分ける必要はありません。研究でも速度によって重なり方が変わっています。推進を生む動きがぶつかり、前へ伸びる姿勢を作れなくなっていないかを確認します。
参考文献
- Leblanc H, Seifert L, Chollet D. Arm-leg coordination in recreational and competitive breaststroke swimmers. Journal of Science and Medicine in Sport. 2009.
- van Houwelingen J, et al. Pacing the phasing of leg and arm movements in breaststroke swimming to minimize intra-cyclic velocity fluctuations. PLOS ONE. 2017.
- Nicol E, et al. Stroke Kinematics, Temporal Patterns, Neuromuscular Activity, Pacing and Kinetics in Elite Breaststroke Swimming: A Systematic Review. Sports Medicine - Open. 2022.
出典
- Arm-leg coordination in recreational and competitive breaststroke swimmers
- Pacing the phasing of leg and arm movements in breaststroke swimming to minimize intra-cyclic velocity fluctuations
- Stroke Kinematics, Temporal Patterns, Neuromuscular Activity, Pacing and Kinetics in Elite Breaststroke Swimming: A Systematic Review


