平泳ぎで「手と足が合っていない」と言われても、どちらを早くすればよいのか分かりにくいものです。腕も脚も動いているのに、1回ごとに身体が止まることもあります。

見るべきなのは、手と足が同時かどうかだけではありません。腕で進む時間、脚を引きつける時間、キックで進む時間、伸びる時間がどうつながっているかです。

先に短く言うと、基本の流れは次の順です。

  1. 腕をかき始める
  2. 腕を戻しながら脚を引きつける
  3. 腕が前へ伸びたところへキックをつなぐ
  4. キックで得た速度を伸びで受け取る

平泳ぎの手足のタイミングを、かく、蹴る、伸びるの3場面で示した図

タイミングは泳ぐ速さでも変わる

競技者12人とレクリエーションで泳ぐ12人を比べた研究では、遅いペースとスプリントの25mで、腕と脚の各局面を分析しています。

競技者は速度を上げると、腕と脚の間の時間関係を変えていました。一方、もう一方のグループでは、速度が変わっても同じ重なり方が続く傾向がありました。

同じ研究では、遅いペースで両グループが同じ速度だったとき、レクリエーション群では脚を伸ばす動きと腕を戻す動きが重なり、明確な伸びが見られませんでした。

「どのペースでも同じ間を取る」ことが正解とは限りません。50mのテンポを、そのままゆっくり泳ぐ練習へ持ち込むと合わない場合があります。

まず2つの重なりを見る

腕を戻す前にキックが終わっていないか

キックしたときに腕が胸の前に残っていると、前面が広がった姿勢で速度を受けることになります。

横動画で、足が後ろへ動き始めた瞬間の手の位置を止めて見ます。手が前へ向かっている途中なのか、すでに伸びているのかを確認します。

キック後すぐに次のプルを始めていないか

キックで速度が上がった直後に手を外へ開くと、前へ伸びた姿勢を使える時間が短くなります。

ただし、伸びは長ければよいわけではありません。止まるまで待つと、次のプルで再び加速する負担が増えます。

1つの正解タイミングはない

26人に音で異なる手足のタイミングを示した研究では、動きの時間関係を変えると、1ストローク内の速度変化も変わりました。

これは、全員に同じタイミングが最速だったという結果ではありません。手足のつなぎ方を変えれば、加速と減速の出方も変わることを示しています。

38件の研究をまとめたレビューでも、100mは200mよりストローク数が多く、1回で進む距離が短く、推進に使う時間が長い傾向でした。

種目距離、泳ぐ速さ、体格によって使いやすい間は変わります。まず同じペースの中で比較します。

動画では4コマに分ける

横から撮った1ストロークを、次の4場面で止めます。

場面確認すること
プル開始脚がまだ伸びているか
呼吸の頂点足を引きつけ始めているか
キック開始手が前へ向かっているか
キック終了腕と脚が伸びた姿勢へ戻ったか

この表は、研究結果から唯一の正解角度を示したものではありません。どの場面で動きが重なり、速度を失っているかを整理するための見方です。

まとめ

平泳ぎの手足が合わないときは、「同時に動かす」ことを目指しません。

  • 腕を戻す前にキックが終わっていないか
  • キック後すぐに次のプルを始めていないか
  • 泳ぐ速さが変わっても、同じ間を使っていないか

横動画を4場面で止め、最も大きく重なっている場所を一つ選びます。タイミングはペースごとに確認します。

よくある質問

平泳ぎは「かいて、蹴って、伸びる」で合っていますか?

大まかな順番として使えます。ただし実際には、腕を戻す動きと脚を引きつける動きが一部重なります。言葉だけでそろえず、キック開始時の手の位置を動画で見ます。

手と足は完全に交互に動かすべきですか?

完全に分ける必要はありません。研究でも速度によって重なり方が変わっています。推進を生む動きがぶつかり、前へ伸びる姿勢を作れなくなっていないかを確認します。

参考文献