バタフライで腕が水から抜けず、指先や肘が水面に当たる。肩をもっと持ち上げようとすると、1回は抜けてもすぐに苦しくなることがあります。

腕の戻しは、肩だけで作る動きではありません。水中のかき終わり、2回目のキック、身体が前へ進むタイミングが重なることで、両腕を水上へ運びやすくなります。

先に短く言うと、見るのは次の3点です。

  • 手を水から抜く前に、かき終わりが短くなっていないか
  • 2回目のキックが、手の抜き上げから離れていないか
  • 腕を高く上げようとして、手が身体の後ろに残っていないか

腕の戻しだけを切り取らない

若い女性選手10人が流水の中で最大速度の70%、80%、90%に相当するバタフライを泳いだ研究では、腕の動きを4つの局面に分けています。

腕を水から抜いて前へ戻す局面では、上腕の後ろ側の筋肉の関与が、他の局面より大きくなりました。背中の筋肉も、かき終わりと腕の戻しで大きく関わっていました。

ただし、これは筋肉を強く使えば腕が抜けるという結果ではありません。速度条件より、ストロークのどの局面かによる違いが大きかった研究です。

動画で見る3つの場所

1. 手が水を離れる位置

横から撮り、手が太ももの横を通過してから、水を離れるまでを見ます。かき終わりが短いと、腕を前へ運ぶ前に推進が途切れます。

一方、手を後ろへ押し続けすぎると、腕を戻す開始も遅れます。長さではなく、手が水を離れた瞬間に肩と身体が前へ向かっているかを確認します。

2. 2回目のキックとの重なり

エリート男性14人が4つのレースペースで泳いだ研究では、速度が上がると腕のかき、戻し、キックに使う時間が変わり、推進が途切れる時間が短くなりました。

2回目のキックだけを強くするのではなく、手が水を離れる時期と近いかを見ます。足が蹴り終わった後に腕を抜いているなら、両者が離れています。

3. 腕の高さより、前へ運べているか

腕を高く上げると、肩の負担と上下動が増えることがあります。手が水面ぎりぎりでも、前へ滑らかに戻れていれば問題とは限りません。

正面から、左右の手が同じ時期に抜けているかも確認します。片側だけ水面に残る場合は、左右のかき終わりや肩の痛みも切り分けます。

1ストロークだけ撮って比べる

ここからは研究で効果が証明された矯正法ではなく、原因を探すための確認方法です。

  1. 壁を蹴って1ストロークだけ泳ぐ
    速度がある状態で腕を戻せるかを見ます。
  2. 同じ条件で3ストローク泳ぐ
    2回目、3回目に腕が低くなるかを比べます。
  3. 横と正面の動画を分ける
    手の抜ける位置と左右差を確認します。

1回目は抜けるのに続けると当たるなら、肩の柔らかさだけでなく、速度と手足のつながりが変わっています。

肩に痛みがある場合は、腕を無理に高く上げる練習を続けません。この記事は痛みの診断や治療を扱うものではありません。

まとめ

バタフライで腕が水から抜けないときは、肩だけを持ち上げません。

  • かき終わりが短くなっていないか
  • 2回目のキックと手の抜き上げが離れていないか
  • 腕を上ではなく前へ戻せているか

まず1ストロークと3ストロークを比べ、どこから水面に当たり始めるかを確認します。

よくある質問

バタフライの腕は高く上げるべきですか?

高さ自体が目的ではありません。水面を越えて前へ戻せる範囲で十分です。肩をすくめず、手の抜ける位置と2回目のキックを確認します。

肩が硬いと腕は水から抜けませんか?

可動域は一要素ですが、かき終わり、キック、泳ぐ速度でも変わります。痛みがなければ、まず1ストロークと連続泳の差を見ます。

参考文献