クロールを横から見ると、腰から下が斜めに沈んでいる。脚を強く動かすと一時的に浮くけれど、すぐに苦しくなる。よくある悩みです。

脚が沈む原因を「キックが弱い」「体幹がない」の一言で終わらせると、直す場所を外すことがあります。泳いでいる身体には、浮力だけでなく手足が作る力も働きます。

先に短く言うと、見る順番は次の3つです。

  • 呼吸の前後で頭と胸が持ち上がっていないか
  • 腰から折れ、膝が身体より深い場所へ落ちていないか
  • キックを強くしたときだけ姿勢が戻っていないか

クロールで脚が沈むときに確認する頭、腰、キックの位置

「脚が沈む瞬間」を横から探す

横から25mを撮り、頭、肩、腰、かかとの高さを見ます。ずっと沈んでいるのか、呼吸や入水の直後だけ沈むのかを分けます。

水面から何センチなら正解、という基準はありません。体格や泳速で水面の位置が変わるためです。

代わりに、一つのストロークの中で腰とかかとの位置が大きく上下していないかを見ます。呼吸ありとシュノーケルでも比べられます。

脚が沈むときに見たい3つの場所

1. 頭を上げたあとに腰が下がる

前を見ようとして頭を持ち上げると、身体の形が変わります。息継ぎのたびに起きるなら、脚より先に頭の動きを確認します。

男性競泳選手10人を水中で牽引した研究では、頭を上げた姿勢は、身体に合わせた姿勢より受ける抵抗が大きくなりました。

これは水中の静止姿勢を使った実験で、水面のクロールを再現したものではありません。頭の位置と抵抗の関係を見る補足資料です。

息継ぎで沈む場合は、クロールの息継ぎで沈む原因も合わせて確認できます。

2. 腰から折れ、キックが深くなっている

脚を浮かせようとして膝を大きく曲げると、足先の上下幅が広がります。横動画では、膝が腹部より大きく下へ落ちていないかを見ます。

7人の男性競泳選手が回流水槽で泳いだ研究では、全身泳と腕だけの泳ぎの間で、抵抗係数に明確な差は出ませんでした。

研究者は、キックが抵抗へ与える影響は泳速によって変わる可能性があるとしています。キックは常に抵抗を増やす、または減らすとは決められません。

「脚が沈むから強く打つ」ではなく、振り幅を広げたときに姿勢と抵抗感がどう変わるかを比べます。

3. 浮力だけで脚の位置を説明している

身体は胸が浮いて脚が沈む、と説明されることがあります。ただし、実際の全身泳では、手足の動きが身体を回す力も加わります。

クロールと背泳ぎを比べた研究では、重力と浮力だけで脚の沈みを説明できず、手足が作る流体力も身体の姿勢に関わると整理されています。

このため、胸を押し込む、腹部を固めるなど、一つの合図を全員へ当てはめるのは難しいです。

呼吸、入水、キックのどこで姿勢が変わるかを動画で探したほうが、原因を絞れます。

キックを強くする前に比べる

次の3条件を、無理のない速さで各25m泳ぎます。

  1. いつものクロール
    腰とかかとの高さを記録します。
  2. フロントシュノーケルあり
    呼吸で姿勢が変わるかを比べます。
  3. キックを少し小さくしたクロール
    膝の深さと進み方を確認します。

この比較で、特定のフォームが正しいと証明できるわけではありません。どの条件で沈み方が変わるかを探すために使います。

まとめ

クロールで脚が沈むときは、脚だけを見ないことが出発点です。

  • 呼吸で頭が上がったあとに沈むのか
  • 腰から折れ、膝と足先が深くなっているのか
  • キックの強さを変えたときだけ姿勢が戻るのか

横動画で沈む瞬間を見つけ、原因を一つに絞ります。キックを強くするのは、そのあとでも遅くありません。

よくある質問

脚が沈むのは体幹が弱いからですか?

体幹だけで決まるとは限りません。呼吸、頭の位置、手足が作る力でも姿勢は変わります。まず横動画で、どの動作の直後に脚が下がるかを確認します。

キックを止めると脚が沈むのは問題ですか?

必ずしも問題ではありません。キックを止めた条件では浮き方も推進も変わります。通常泳で姿勢が安定し、目的の速度を保てるかを基準に考えます。

参考文献