水泳の練習に、チューブ、パラシュート、パドル、ウエイトを取り入れている人は多いと思います。

「抵抗をかければ強くなる」「筋力が上がれば速くなる」と考えたくなりますが、実際はそこまで単純ではありません。

抵抗トレーニングは、やり方によって泳ぎにうまくつながることもあれば、疲労だけ増えてフォームが崩れることもあります。

先に短く言うと、抵抗トレーニングは「負荷を足すこと」自体が目的ではありません。何の距離を速くしたいのか、泳ぎのどの局面に移したいのかを決めて、方法を選ぶことが大切です。

抵抗トレーニングは効果がある。でも方法が大事

2024年に13件の研究、計267名の競泳選手をまとめた分析では、抵抗トレーニングによって上半身の最大筋力と、25m、50m、100m、200m自由形の記録が改善したと報告されています。

一方で、この研究で重要なのは「方法論が大事」とされている点です。

ただ重い負荷を増やせばよいわけではありません。レビューでは、パフォーマンス改善はストローク長よりもストロークレートの増加と関係している可能性が示されています。また、複合的な抵抗トレーニングやパワートレーニングが特に有効だったとされています。

つまり、筋力を上げることと、その力を水中の速度に変えることは、同じではありません。

パラシュートを使って抵抗をかけながら泳ぐ男性スイマーのイラスト

強くなったのに泳ぎが変わらない理由

ウエイトの数字が伸びても、泳ぎが速くならないことがあります。

それは、筋力が無駄という意味ではありません。水泳では、力を出す方向、タイミング、姿勢、呼吸、ストロークのリズムがそろって初めて速度になります。

例えば、陸上で引く力が強くなっても、水中でキャッチが浅いままなら推進には変わりにくいです。パラシュートで強く泳げても、通常泳でテンポが落ちるならレースにはつながりません。パドルで大きくかけても、肩に負担が出てフォームが崩れるなら注意が必要です。

抵抗トレーニングは、泳ぎに移す設計が必要です。

練習では目的を一つ決める

抵抗練習を入れる時は、まず目的を一つに絞ると扱いやすくなります。

  • スタート後の初速を上げたい
  • 50mのピッチを落とさず泳ぎたい
  • 100m後半のキャッチを保ちたい
  • 200mでストロークが短くなるのを防ぎたい
  • 水中で力を出す感覚を確認したい

目的が決まると、使う道具や負荷も変わります。

強い負荷で短く泳ぐのか、軽い負荷でテンポを保つのか、通常泳と交互にして感覚を戻すのか。ここを曖昧にすると、ただきつい練習になりやすいです。

特に大切なのは、抵抗を外した後の泳ぎです。負荷をかけた後に、通常泳でキャッチ、ピッチ、姿勢がよくなるなら、練習として意味が見えやすくなります。

まとめ

抵抗トレーニングは、水泳パフォーマンスの改善に役立つ可能性があります。

ただし、効果を出すには方法が大切です。何となく負荷を足すだけでは、疲労が増えるだけで泳ぎにつながらないこともあります。

筋力を上げること。水中で力を出すこと。レース速度でその力を使うこと。この3つは分けて考えたいです。

チューブやパラシュート、パドルを使う時ほど、「この練習はどの泳ぎに移したいのか」を決めておきたいですね。

よくある質問

抵抗練習は毎回入れた方がいいですか?

毎回入れればよいとは限りません。負荷が高い練習は疲労も残ります。目的、距離、試合までの時期、肩や腰の状態を見ながら入れる必要があります。通常泳へのつながりが見える形で使いたいです。

パドルやパラシュートは強い負荷ほど効果がありますか?

強い負荷ほどよいとは言えません。負荷が強すぎると、ストロークが遅くなったり、フォームが崩れたりします。レースで使いたい動きに近いテンポや姿勢を保てる負荷を選ぶことが大切です。

参考文献