
ひとかきひとけりで進まない原因|浮き上がりまでの見直し方
平泳ぎのスタートやターン後に、ひとかきひとけりをしても進まない。長く潜ろうとすると止まり、早く浮くと水中で得た速度を使えない。そんなときは、潜る距離だけで判断しません。
ひとかきひとけりは、けのび、1回のドルフィンキック、腕を腰までかく動き、腕と脚を戻す動き、浮き上がりまでの連続した流れです。
先に短く言うと、次の3点を見ます。
- 速度が落ち切る前に、次の動作を始めているか
- ドルフィンキックと腕のプルを自分に合う順番でつないでいるか
- 腕と脚を戻す間に、身体が大きく沈んでいないか
トップ選手でも順番は一つではない
世界大会とオリンピックの映像から、60人、150回分のスタートとターンを分析した研究があります。
ドルフィンキックを先に終える方法、キックとプルを一部重ねる方法、腕のプルを先に終える方法の3種類が確認されました。
最も多かったのはキックとプルを一部重ねる方法でしたが、3種類の間でスタートやターンの成績に明確な差はありませんでした。
「全員がこの順番なら速い」とは言えません。大切なのは、選んだ順番を安定して行い、動作の間で速度を失いすぎないことです。
進まないときの4つの確認
1. 最初のけのびを待ちすぎていないか
壁を離れた直後は速度が高く、時間とともに落ちていきます。深く長く潜ること自体が目的ではありません。
横動画で、足が壁を離れてから手や脚が最初に動くまでを確認します。動き始めた時点ですでに大きく減速していないかを見ます。
2. ドルフィンキックとプルの順番が毎回変わっていないか
16人が2種類の方法を試した研究では、ドルフィンキックを先に行う方法と、キックとプルを重ねる方法で、各局面の速度の出方が異なりました。
どちらかを形だけで選ばず、壁蹴りの強さと深さをそろえて、5mや10mの通過を比べます。
3. 腕を腰に止めすぎていないか
腕を腰までかいた後の姿勢は細くなりますが、そのまま待ちすぎると速度が落ちます。腕を前へ戻すときは抵抗も増えます。
プル終了から肘が曲がり始めるまでに長い間がないかを見ます。長く止めることと、速く進むことは同じではありません。
4. 浮き上がりのひとかきが遅れていないか
腕と脚を前へ戻してキックした後、通常の平泳ぎへ移ります。水面へ出ることだけを急ぐと、最初のプルが浅くなることがあります。
頭が水面を通過する位置と、最初のプルが始まる位置を一緒に確認します。
距離別に変わるのは「伸び」だった
50m、100m、200mのレース41本を分析した研究では、腕と脚の複雑な時間関係やドルフィンキックの時期に、種目間の差は見られませんでした。
一方、100mと200mは50mより、水中で伸びる時間が長くなっていました。
この結果も、長く伸びれば全員速いという意味ではありません。種目距離に合わせて変えやすかったのが、複雑な手足の順番より伸びの時間だったという結果です。
動画は5つの場面で止める
| 場面 | 確認すること |
|---|---|
| 壁を離れた直後 | 頭から足までが一直線か |
| ドルフィンキック開始 | 手がまだ前にあるか、開き始めているか |
| プル終了 | 手が腰の横に収まっているか |
| 腕と脚の回復 | 身体が深く沈み直していないか |
| 浮き上がり | 最初のプルへ途切れず移れているか |
毎回同じ深さと壁蹴りで撮れない場合、距離の比較は不正確になります。1本の見た目だけで決めず、数本を同じ条件で比べます。
まとめ
ひとかきひとけりで進まないときは、潜った距離だけを伸ばしません。
- けのびを待ちすぎていないか
- ドルフィンキックとプルの順番が安定しているか
- 腕と脚を戻す前後で大きく減速していないか
- 浮き上がりのひとかきまでつながっているか
5mや10mの通過と動画を合わせ、最も速度を失う局面を一つずつ見直します。
よくある質問
ドルフィンキックはプルより先に打つべきですか?
トップ選手にも複数の順番があり、研究では一つの方法が明確に優れていませんでした。自分の順番を決め、同じ条件で通過タイムを比べます。
ひとかきひとけりは長く潜るほど有利ですか?
距離だけでは決まりません。速度が落ちたまま潜り続けると、浮き上がりまでの時間が増えます。5mや10mの通過と通常泳へのつながりを見ます。
参考文献
- McCabe C, et al. The characteristics of the breaststroke pullout in elite swimming. Frontiers in Sports and Active Living. 2022.
- Olstad BH, et al. Arm-leg coordination during the underwater pull-out sequence in the 50, 100 and 200 m breaststroke start. Journal of Science and Medicine in Sport. 2022.
- Santos CC, et al. Understanding the Kinematic Profile of 2 Underwater Pullout Breaststroke Techniques. International Journal of Sports Physiology and Performance. 2024.


