目を閉じていないのに、いつの間にかコースロープへ寄っている。壁の黒線を見ているのに、左右へ蛇行する。クロールではよくある悩みです。

まっすぐ泳げない理由は、手の入水位置だけとは限りません。呼吸側の回転、左右の腕が水を押すタイミング、顔を戻す動きまでつながっています。

先に短く言うと、次の3点を確認します。

  • 呼吸したストロークだけ、身体が横へ傾いていないか
  • 左右で前の手を残す時間が違っていないか
  • 入水から水中へ入る手の軌道が中央へ寄っていないか

曲がる方向ではなく、曲がる瞬間を見る

後方から25mを撮り、頭、背骨、腰が黒線に対してどう動くかを見ます。曲がった結果だけでなく、最初に横へ動いた瞬間を探します。

呼吸直後、右手の入水、左手のかき終わりなど、きっかけを一つに絞ります。左右のコースロープまでの距離も目安になります。

プールの水流や混雑でも進路は変わります。一度の映像で決めず、同じレーンを往復して比べます。

まっすぐ進みにくい3つの左右差

1. 呼吸側へ回る量だけが大きい

呼吸すると身体は横向きに回ります。このローリング自体が悪いわけではありません。

国内・国際レベルの男性競泳選手12人が25mを全力で泳いだ研究では、呼吸ありの条件で、呼吸側への肩と骨盤の回転が大きくなりました。

ただし、左右を合わせた全体の回転量には明確な差がありません。呼吸側へ回る量が増えたことと、蛇行したことを同じには扱えません。

後方動画では、呼吸側の肩だけ大きく落ちていないか、顔を戻したあとも腰が傾いたままになっていないかを見ます。

2. 左右の腕が水を押すタイミングが違う

技能レベルの異なる28人を調べた研究では、多くの泳者に腕の連携の左右差が見られました。

特に経験の浅いグループでは、呼吸動作によって呼吸側の左右差が大きくなりました。上級者では、呼吸による乱れが小さく抑えられていました。

左右差があるだけで、必ず曲がるとは言えません。動画では、曲がり始める瞬間と腕の切り替えが重なるかを確認します。

前の手が止まる時間、反対の手が水から出る時間を左右で比べると、見つけやすくなります。

3. 呼吸すると水中の手の軌道が変わる

男性競泳選手10人が25mを全力で泳いだ研究では、呼吸ありと呼吸なしで、肩の角度、水中の手の深さ、プルにかかる時間などが変わりました。

この研究は、呼吸側の腕の三次元的な動きを比べたものです。入水が中央へ寄ることや蛇行を直接測った研究ではありません。

それでも、呼吸が腕の軌道を変える可能性は確認できます。正面動画では、手先だけでなく、肩と肘を含めて中央線との位置を見ます。

左右を同じ形にそろえすぎない

左右差を見つけても、すべてを鏡写しにする必要はありません。利き腕、呼吸側、可動域によって、動きには個人差があります。

先に直すのは、進路が変わる瞬間と一致する左右差です。曲がっていない場面の違いまで、一度に消そうとしません。

左右呼吸やシュノーケルは、差を見つける比較条件として使えます。左右呼吸に変えれば必ず直る、という意味ではありません。

次の練習で比べる3条件

  1. いつもの呼吸で25m
    どのストロークで曲がり始めるか記録します。
  2. 反対側の呼吸で25m
    曲がる方向とタイミングが変わるか見ます。
  3. シュノーケルで25m
    呼吸なしでも同じ左右差が残るか確認します。

すべて楽なペースで行います。反対側呼吸に慣れていない場合は、無理に距離を伸ばしません。

まとめ

クロールでまっすぐ泳げないときは、曲がる方向より、最初に横へ動く瞬間を見ます。

  • 呼吸側だけ大きく回っていないか
  • 左右の腕の切り替えがずれていないか
  • 呼吸で手の水中軌道が変わっていないか

後方と正面の動画を使い、進路変化と同時に起きた動きを一つ選びます。

よくある質問

入水が身体の中央へ入ると、必ず曲がりますか?

必ずとは限りません。進路は呼吸、回転、左右の推進タイミングにも影響されます。入水位置だけで決めず、身体が横へ動く瞬間と重なるかを見ます。

左右呼吸にすれば、まっすぐ泳げますか?

左右差を見つける比較には使えますが、必ず直るわけではありません。反対側呼吸とシュノーケルで進路がどう変わるかを比べ、原因を絞ります。

参考文献