最初は腕がすっと戻るのに、25mの後半になると水面に引っかかる。そこから顔を上げて息を吸おうとすると、ますます前へ進まない。バタフライですぐ疲れるときは、距離を増やす前に、どの場面から泳ぎが変わるかを見てみましょう。

体力に加えて、前半の飛ばしすぎ、呼吸に合わせた失速、疲れた後の腕や脚の動きが確認する候補です。これらを、見た目だけで原因と決めつける必要はありません。崩れ始める場面が分かれば、練習をどこで区切るかも決めやすくなります。

最初の数ストロークを飛ばしすぎていないか

25mを何本も繰り返す予定なのに、1本目だけ全力のような泳ぎになっていないでしょうか。最初のタイムだけ良くても、その後は腕を戻すたびに苦労するなら、同じ強さで繰り返せていません。

次の練習では、最初から最大の力でかくのをやめ、腕を無理なく戻せるリズムで出発してみます。ただし、遅くしようとして入水後に長く止まり続けると、バタフライの動きはつなぎにくくなります。力を抑えることと、動作の間に待ち時間を作ることは別です。

U.S. Masters Swimmingのバタフライガイドは、速く泳ぐ練習では短い距離と十分な休息を使い、疲れて泳ぎが崩れる状態を避けるよう説明しています。前半を抑える案も、どの程度なら自分の動きが続くかを探すためのものです。全員に共通するタイムやテンポはありません。

呼吸のたびに止まるなら、顔を上げる時期を見直す

腕の疲れが気になっていても、実際に失速しているのは息を吸うストロークかもしれません。前半と後半で、呼吸後に顔が前を向いたまま残る時間を比べます。

頭を高く上げ続けてから腕を戻そうとしていないか、息を吸おうとする動作が肩の浮上より遅れていないか。呼吸の動作と腕の戻しが重なる場面を見てください。

呼吸を始める時期と、口が水面から出て実際に息を吸う時期は区別します。USMSのタイミング解説も、上体や肩の浮上に呼吸の動作を合わせ、腕が戻り終わる前に頭を戻すよう説明しています。詳しい動きは、バタフライで呼吸すると沈む原因とタイミングの図解で確認できます。呼吸回数を無理に減らして、苦しさを我慢する練習にはしません。

後半は、腕の戻しと1回で進む距離を比べる

女性選手7人が25mプールで100mバタフライを泳いだ研究では、最初と最後の25mを比較しています。抑えた速度と全力の両条件で、最後は泳速、1サイクルで進む距離、ストローク頻度が低下し、腕を水上で戻す時間などが長くなりました。肘の下がり方や足の上下動にも変化が見られています。研究概要

少人数の選手を対象にした100mの結果なので、「25mで疲れる人の原因はこれ」と断定はできません。ここから使えるのは、タイムだけでなく、泳ぎ始めと疲れた後の動きも比べるという見方です。

自分の泳ぎを確認するときは、次の箇所が手がかりになります。

比べる箇所動画や記録で確かめること
腕の戻し手が水を離れてから次に入水するまでが、後半だけ長くなっていないか
進み方同じ回数かいても、後半は進む距離が短くなっていないか
呼吸呼吸後に頭が高く残り、次の動作が遅れていないか
足の軌道後半だけキックの上下動が大きく変わっていないか

脚の振り幅が大きいだけで、悪いキックとは決めません。本人の前半から何が変わったかを見ます。ストローク数を記録するなら、バタフライは両腕の1回分を1サイクルとして、数え始めと終わりの条件をそろえてください。壁を蹴った直後と、壁に着く直前だけを比べると、蹴り出しや最後の合わせ方も混ざります。

50mを続ける前に、25mずつ休んで泳ぐ

25mなら泳げるものの、50mへ伸ばすと後半が大きく崩れる場合は、練習を25mごとに区切る方法があります。同じ合計50mでも、25mの後に休息を挟めば、次の25mに向けて動きを整え直せます。

50mを続けて泳ぐ組み方と、25mの後に休息を挟んでもう25m泳ぐ組み方を比較する図

練習の組み方を示した模式図。両方とも泳ぐ合計距離は50mですが、休息の有無で練習条件は変わります。休息時間やフォームの細部は省略しています。

まずは、腕が水面に引っかからず、呼吸後も次の動作へつながる範囲で行います。何秒休むかを先に固定して苦しくなるより、コーチと相談して、次の1本を落ち着いて始められる設定にしてください。

25mの途中ですでに崩れる人は、25mを何本も泳ぐ設定をそのまま当てはめる必要はありません。たとえば、最初の数ストロークをバタフライ、残りを楽なクロールにするのも練習案です。泳法を途中で変えてよいか、レーンで周囲の人と接触しないかを先に確認します。これはフォーム練習の例で、レースの泳ぎ方ではありません。

USMSのガイドにも、長い距離を無理に続ける代わりに短い反復を使う方法があります。ただし、短く分けて泳げたことと、同じ距離を連続で泳げることは別です。

距離を伸ばす日は、休息まで同時に短くしない

25mの反復で動きがそろってきたら、50mを試すときも、まずは休息に余裕を持たせます。距離を伸ばすと同時にサークルまで短くすると、どの変更で崩れたか分かりにくくなります。

「25mを何本泳げたか」に加えて、「最後の1本で腕は戻ったか」「呼吸後の失速はどうだったか」も練習記録の記入例に沿って残します。サークルに間に合わないときの調整方法も参考に、距離・本数・休息のうち、何を変えるかを決めてください。

肩に痛みが出る場合は、その泳ぎを続けて確認しないでください。NHSの肩痛ガイドも、痛みを悪化させる動作を避けるよう案内しています。痛みが悪化する、腕を動かしにくい場合は医療機関に相談します。

泳ぎ終わってから「今日も疲れた」で終えるより、腕が戻らなくなった距離と、その前に変わった動きを残す。次の練習は、その少し手前までを余裕のある動きで繰り返すところから組み立てられます。

参考文献・資料